【取材】寺島しのぶ主演で話題!海外メディアも絶賛の平栁敦子監督作品『オー・ルーシー!』舞台挨拶

2018年4月28日(土)より、ユーロスペース、テアトル新宿他にて公開が始まった『オー・ルーシー!』(配給:ファントム・フィルム)の舞台挨拶の取材に行ってきました!公開初日の上映後に行われた舞台挨拶には、平柳敦子監督が登壇。質問と笑いが飛び交う和やかな雰囲気で行われました。

あらすじ

43歳、独り身の節子は職場では空気のような存在。通い始めた英会話教室でアメリカ人のジョン先生に出会い、ハグされたことから一気にフォーリン・ラブ!ところがジョン先生は節子の姪の美花とまさかの逃避行!? そして節子は愛しのジョンを追って一路L.A.へ!英会話教室のクラスメートのトムこと小森も登場して、節子の恋と旅の行方はいったいどうなる!?

 

『オー・ルーシー!』は、第70回カンヌ国際映画祭に正式出品、アメリカのインディペンデント・スピリット賞の新人作品賞と主演女優賞にもノミネートされ、海外メディアにも絶賛される今期注目の映画。アメリカの最有力映画批評サイト「ROTTEN TOMATOES」では、驚異的な高評価“Fresh 100%”を獲得しています。

監督は、日本より一足早く公開されたアメリカやフランスでの舞台挨拶を済ませており、「どこに行っても、日本での反応はどうだったか聞かれるので、今日は日本での皆さんの反応が聞けることを楽しみにしていました」と、この日を楽しみにしていたことを明かしてくれました。

「日本ではこういう時、なかなか手が挙がらないことが多いと思うのですが、アメリカでは、質問が終わる前に手を挙げるようなまるでディベートのような雰囲気でした。でもフランス人もわりとシャイで、こういう時、誰か一人が手を挙げると話しやすくなると思うのですが……」と語った監督の心配もよそに、さっそく会場からたくさんの手が挙がりました。

無口な人ほど言いたいことをたくさん抱えている

この映画の主人公、節子は仕事もプライベートもパッとしない中年女性。

「なぜこのような女性を主人公にして映画を作ろうと思ったのか」という質問に対し、平柳監督は「もともとこの映画は大学院時代の課題、“身近な人を題材にしたストーリーを書く”というところから生まれました。私の作品では無口な人を題材にしたものが多いのですが、今回はルーシーを通して無口な人の本音を喋らせたかった。無口な人ほど、本当は話したいことがたくさんあるというのが私のセオリーなんです」と語りました。

日本独特のOLという立ち位置

タイトルの『オー・ルーシー!』は、日本の“OL”という言葉からつけたそう。アメリカで生活している平柳監督。節子が置かれている日本のOLという状況は、どのようにリサーチしたのでしょうか。

「リサーチはブログなどを検索したりして行いました。それこそ2ちゃんねるのようなものとか(笑)。でも、私も日本にいたときに、部活やアルバイトのヒエラルキーのようなものを経験していて、きっと仕事もこれの延長線上にあるのだろうと思って」という意外な回答も。

また、海外では、節子は何の仕事をしているのかという質問が多く見られたそうです。キャリアアップをせずに、同じ作業を続けるという概念が、海外の人からは不思議に思うのだそう。たしかに、OLというのは日本独特の表現ですよね。

日本とアメリカ両国の豪華キャストの演技が光る

本作品では日米の豪華キャスト、プロデューサーが名を連ねていますが、凝縮した演技が光っていたのがトムこと小森役の役所広司さん。役所さんの演技がとても印象に残ったという方も。

平柳監督は、「どんなにクサいセリフでも、役所さんが言うと重みがあってしっくりくる。周りの空気を変えてしまうような存在感のある俳優さん。時にはカーブボールを投げてきたり、私にとって学びがあるような質問をしてきてくれたりするんです」と、この作品に役所さんが与えた影響の大きさを語りました。

人間は動物的という認識

南さん演じる節子の姉が、昔節子の恋人を奪って結婚したというストーリーから、兄弟や姉妹で同じ人を好きになるということについての質問も。

「海外では姉妹で同じ人を好きになるという映画はたくさんありますよね。普通の生活でも、しょっちゅう起こっていると思います。そういった意味では、姉妹で同じ人を好きになるというのは特別なことだと捉えていません。欧米の人の方が人間は動物的ということをよくわかっているのだと思います。性の認識の違いとも言えるかもしれませんね」と平柳監督。

お話を聞いて、鋭い人間観察眼を持ち、異なる視点から考えることができる人が作った映画だから、ここまで支持されるのだと改めて感じました。

寺島さんと南さんの姉妹関係が魅力的

「寺島さんと南さんの姉妹の微妙な関係がとても魅力的で引き込まれました。モチーフやアイディアはどのようなところから得られたのでしょうか?」という質問に対し、平柳監督は「今日は私の家族が来ていて言いにくいのですが(笑)。母が三姉妹で、それを横目でよく見ていたということですかね。私の子どもを見ていても、上が下を支配しようとする。動物的なものを感じます」と、会場の笑いを誘いました。

寺島さんと南さんの姉妹の関係については反響が多く、「母が南さんが演じるお姉さんにそっくりで……。これからお母さんとどのように接していったら良いでしょうか。アドバイスか欲しいです!」という質問まで出てきました。これに対して監督は、「お母さんはきっと更年期障害なので(笑)。単なるホルモンの問題だから、距離を置きましょう」と言って会場を賑わせていました。なんでも、ティーンエイジャーが親とよく喧嘩するのもホルモンの問題だそうです。勉強になります!

この映画のもとになった、短編も観てみたい

『オー・ルーシー!』は、平柳監督が大学院時代の修了作品として、桃井かおりさんを主演に迎えた短編『oh Lucy!』の長編バージョン。短編を視聴するには、「Vimeo(ヴィメオ)」という動画共有サイトにて有料で視聴が可能とのこと。さっそく私も観てみようと思います。

 

あとがき

冒頭で質問が出るか心配していた平柳監督ですが、Q&Aの時間は「監督の想いを聞きたい!」という熱意を持った観客の方達と監督の掛け合いで、あっという間に時間が過ぎていきました。とても気さくに、一つひとつの質問に丁寧に答える姿が印象的でした。また、「で、質問なんでしたっけ?」「どっち向けばいいんでしたっけ?」と、時折見せるとぼけたところもチャーミングで、素敵な人柄が垣間見えました。魅力的な人が作るものは、やはり人を惹きつけるものがあるのだと感じた作品です。

海外で絶賛され、ついに凱旋公開を果たした『オー・ルーシー!』、ぜひこの機会にご堪能あれ!

この記事をシェアする