映画で世界を変える人、関根健次さんに話を聞いてみた!

こんにちは、ライターの夏井です! 以前から、この方にだけは取材したいと思っていた方がいました。何かきっかけがあったわけではないのですが、思い切って取材のアタックをしました。

そう、今回は社会課題を題材にした多くのドキュメンタリー映画の配給を行うユナイテッドピープル株式会社、代表の関根健次さんに取材を行いました。

学生時代の夢はなんでしたか?

今は社会課題を題材にしたドキュメンタリー映画を主に配給する会社の代表をしていますが、元々はそこまで社会課題に関心があったわけでありませんでした。 それよりも自分の趣味を仕事にしたいと学生の頃は思っていました。趣味はワインが好きだったので、ワインの輸入に関わる事が、当時の夢でした。

私はアメリカの大学に通っており、その卒業旅行で世界半周の旅をしようと思い企画していました。トルコからユーラシア大陸を一人で回る旅です。そして旅の途中、トルコからイスラエルに立ち寄り、ワイナリー巡りをしようと思いました。そこでエルサレムという場所で偶然、日本人女性と出会い、遊びに誘われた場所がガザ地区でした。パレスチナやガザ地区はなんとなく知っている程度で、イスラエルとの地理関係も分かってなかったですし、爆弾がよく落ちているところといった漠然としたイメージしかありませんでした。

そんなイメージもあり、流石に恐いので行きたくありませんと伝えたのですが、彼女はガザ地区が非常に安全で人もみんなフレンドリーだから騙されたと思って来てみなよ、と私に話しました。

普通なら、断りそうなところですが、僕は騙されるのが好きなんですよね、笑

1999年1月の事ですね。ガザ地区に行ってみたら本当に平和でした。住んでいる方もとてもよくしてくれて、道を歩いていると子供達で集まり人だかりができました。その当時のガザ地区は外界と隔離された牢獄のような場所で、アジア人を見たことがない人が多かったんですよね。車に乗っても人だかりができるほどでした。ある子供には「お兄さんは神様なの?」と聞かれました。当時はインターネットもそこまで普及しておらず情報が遮断されていて、外国人を見て異星人のような反応を示していました。

人生のターニングポイント

何れにしても、紛争地帯と言われていたガザ地区に入って感じたのは平和で安全な場所だということでした。そして小学生から中学生くらいの子供達とサッカーをしました。終わった後に、ふと紛争地域で生まれ育った彼らの夢を聞きたくなり、聞いていたところある一人の青年から「僕は爆弾の開発者になりたい。ヒトラーようになってユダヤ人を大虐殺したい」と言われました。

それが、私の人生のターニングポイントでした。

その子供からもっと話が聞きたくなり、1対1で対話を重ねました。彼がそう思った理由は、彼が4歳の時に目の前で歩いてた叔母さんが銃殺されたそうです。実際にそういった事って我々からするとリアリティを感じませんが、起こっているんですよね。日本ではあまり知る機会は多くないかと思いますが、パレスチナ問題を肌で感じた瞬間です。幼少時に傷を負った彼は、似たような境遇の青年グループと仲良くなり、おそらく武装勢力に加入していたようです。彼に、その考えは捨てた方がいいと話しました。復讐をすれば、お互いに憎しみの連鎖が生まれてしまうので断ち切ろうと彼を説得しました。しかし、説得はできませんでした。

健次の話は正しいと思うが、それが分かっていても、自らの命は惜しくないから、復讐をするだろうと言っていました。そして、別れ際には、いつか国際ニュースに自分が映るから楽しみにしていてくれと。それが彼との別れでした。

それまでの僕の夢は、ワインの輸入会社を立ち上げて、自分のワイナリーを作って好き放題ワインを飲んでいい人生を送る事でしたが全部吹っ飛びました。

映画配給を思いついた瞬間

日本に帰国後、それでも食品関係でワインの仕事をするべく1年ほど就職していましたが、何か心に引っかかるものがあり、転職をいくつかした後26歳で起業しました。 そして、まず始めたのは寄付のwebサイトの作成でした。

世界中で助けを必要としている人達に助けの手が差し伸べられる国際支援のプロフェッショナル、いわゆるNGOに寄付金が流れるシステムを作りました。最終的には140ほどの様々な団体を支援させてもらいました。

緊急支援物資を届けたり、地雷を撤去したり、お医者さんを派遣したり、学校を作ったり合計で1億2000万円程の寄付金を10年くらいかけて集めました。

そして時折、現地を訪れていました。災害地域や紛争地域など様々です。パレスチナにも足しげく通っていました。そして数年の期間を経て再びガザ地区を訪れました。状況は悪化していて支援先の団体と学校をタクシーで往復する以外、危なくて外に出る事は出来ませんでした。タクシーから見えましたが、橋や発電所などもインフラ設備も空爆で破壊されていました。

必死に集めたお金も、これではいくらあっても足りないと正直に感じてしまったんですよね。もちろん支援が大切な事は変わらないのですが、そもそもの戦争を生み出す考えがなくならない限りは支援金がいくらあっても足りないと。行けば行くほど絶望して帰ってきました。それから今でもずっと「みんなが幸せになるにはどうしたら良いか」を考えていますが、その中で出会ったのが映画でした。

視察:パレスチナ西岸自治区

関根さんが考える映画とは? そこには目に見える結果があった。

ある時にバングラデシュのNGO団体の友人から映画を紹介されました。それはバングラデシュのストリートチルドレンを題材にした劇映画の作品です。その表現行為に感動しました。フィクションですが事実を基にして作られたその映画を通して、バングラデシュ国内の方にストリートチルドレンの現実を知ってもらう啓発活動にもなるなと。そして日本でもこの作品を見てもらいたくなり日本に戻り、様々な人に助けられながら渋谷のアップリンクさんで公開できました。

この作品を通して目に見える結果があったのですが、作品を見た学生たちが次々とバングラデシュに行き、ボランティアを始めました。

映画は直接的に社会課題を解決したり、貧困を無くしたり、戦争を止めたりはできません。しかし、見た人達が現実を変えていく力があるなと、その時に強く感じました。

話を続けます。学生たちが次々とバングラデシュに行き、ボランティア活動で学校を作ったり、井戸を掘ったり、支援活動を行なった彼らが日本に戻り、報告会を行いました。そうすると、現実を変えた一人から報告会で話を聞いた数十人の心を変え、話を聞いた人が今度はボランティアに行く連鎖が生まれました。

本当に、これはすごい事だと映画の力を実感しました。2011年の震災以降からは、全面的に現在の「ユナイテッドピープル」の映画配給活動にシフトしています。

視察:パレスチナ西岸自治区

国際平和映像祭について

毎年国連が定めたピースデー9月21日に合わせて2011年から横浜で開催している平和がテーマの映像祭です。

実行しようと思ったきっかけはふと観た映画がきっかけでした。「ザ・デーアフターピース (https://www.cinemo.info/63m)」という作品があり、一日からでも戦争や暴力のない日を始めようと国連が定めたピースデーを9月21日にすることに奔走した、ジェレミー・ギリーという元俳優の活動を追ったドキュメンタリー映画です。これまで、有史以来1日も人が人を殺さない日って世界中でないんですよね。

発起人となったジェレミーに鼓舞されたと同時に、日本では国連で定めた9月21日にピースデーの事を知ってる人がほとんどいませんでした。純粋にそれを広めたいと思いましたし、世界中の若者たちが映像を通じて世界を見つめ直し、様々な地域の方と交流を持てる場を作りたいといった意図で映像祭をはじめました。映像をきっかけに極力出会う場にしています。これまでにも中国や韓国から30名ほどの学生を招待したりなど。世界中に友人ができたら、友人のいる国が悲惨な状況になったら、それを友人であれば救いたいと思いませんか? 友情を通して、理解や思いやりを持って平和を作っていく事ができれば、戦争はなくなると思うんです。

そのためにも多くの方との繋がりを大切にする場を、これからも私は映画や映像を通じて表現していきたいと思います。また、今年のピースデーには千葉でピースデー・フェス「PEACE DAY 19」https://peaceday.jp/2019/を開催します。多くの方に平和との向き合う気持ちを少しでも感じていただけたらと思います。

※国際平和映像祭2019は9月15日(日)に国際協力機構(JICA)横浜国際センターにて開催致します。 peatixイベントページ:https://ufpff2019.peatix.com/view

関根 健次 プロフィール

1976年生まれ。ベロイト大学経済学部卒(米国)。大学の卒業旅行で世界半周の旅へ出る。途中偶然訪れた紛争地で世界の現実と出会い、後に平和実現が人生のミッションとなる。2002年に世界の課題解決を事業目的とする非営利会社、ユナイテッドピープル株式会社を創業。ネット募金サイト「イーココロ!」やネット署名サイト「署名TV」の運営を経て、2009年から映画事業を開始。2011年から国連が定めたピースデー、9月21日を広める活動を開始。同年、一般社団法人国際平和映像祭を設立しピースデーに毎年国際平和映像祭(UFPFFを開催している。2016年4月から家族4人で世界一周の旅へ出て約1年、21世紀の理想的国家として注目されるコスタリカに暮らした。著書に「ユナイテッドピープル」がある。

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