日本一小さなフィルム上映館!その名もシネマノヴェチェント

みなさま、こんにちは!! ライターsummeriです!

ユニークな映画館を発見してしまいました!

横浜は戸部駅から徒歩10分程の場所に構えるシネマノヴェチェント。徐々に失われつつあるフィルム上映館としては国内でも最小規模であり、トラットリアも併設された珍しいシアターである。一見風変わりなシアターについて、館長の箕輪克彦さんにお話を聞いてみた。

summeri
シネマノヴェチェント! 何かとても大切な意味が込められてそうな映画館の名前の由来について教えて下さい。
箕輪さん
館名の由来は、ベルナルド・ベルトルッチ監督作品「1900年」(邦題)の原題から名付けてます。ベルトルッチは大好きな監督でした。

※「ノヴェチェント」とはイタリア語で1900年代のこと。

summeri
非常に著名な監督ですが、大好きな監督でしたというと?(笑)
箕輪さん
『ラストエンペラー』を見て、嫌いになってしまい、それ以降はあまり好きではありません。『ルナ』までの彼は好きでした。そして、その最高峰が『1900年』でした。

『1900年』という映画を思い返した時に、考えてみれば1900年代というのは映画の時代でもあったなと思うんですよ。映画は19世紀末に生まれて、商業として成熟していくのは20世紀に入ってから。20世紀は、ずっとフィルムでサイレントからトーキー、モノクロからカラーになって、映写方法も様々な手法が生み出されました。そして21世紀になってデジタルへと変化していきました。

私が映画と感じるのはもっぱらフィルムで制作された映画に対してです。それはデジタルに比べ、フィルムはカメラマンによって撮影から編集までに味付けされるものが、色濃く残り、それが映画たらしめる要素だったのではと感じるからです。主観的ではありますが、フィルムで撮影された時代のスタッフクレジットは、デジタルで撮影された映画のものとは重みが違って受け取れました。

私は技術屋ではないので、あまり細かいことは言えませんが、現在のデジタル撮影では誰が見ても綺麗に撮影が出来ることができますよね? 映像の美しさと画質的な綺麗というのは別の話に感じます。以前は美しさに、もっと拘りがあったことに対して、今はそれが足りていないように感じるのです。

映像が綺麗なことと、美しさや映像の質そのものに味をつけることは別の話で、多くのスタッフの力で味付けされた映画を楽しむことは、最近のデジタル映画からは少なくなってしまったように思います。

館内のユニークなお手洗い。あのお二人が我々を迎えています(笑)。

summeri
日本一小さな映画館と書かれてますが、実際にそうなのですか?そしてなぜフィルムで上映する形式を選んだのでしょう?
箕輪さん
わかりません。そもそも鼻息を荒くして、劇場が小さいことを自慢することでもないのですが(笑)。 日本一というのは売り文句としては、良いかなと思い使いました。しかし2015年の開業以来、より小さな映画館はたくさん出来るようになりましたね。

それは、映画館(ミニシアター)の定義の話にもなってきますが、近年は座席が固定されていない映画館というのも増えてきました。映画を活用したコミュニティスペースもありますし、まぁそこは言い張ってもそれぞれの主張があるので答えは出ません。

それでも日本一小さな!と言い出したからには、なんだか悔しいので、フィルム上映を行うと付け加えました。それは間違いなくフィルム上映を行う映画館の規模としては最小です。間違っていたら、クレームが来そうですが、今のとこ苦情は来ていないので正しいのだと思います(笑)。 あとフィルムで制作された映画にはフィルムだからこそ、わかる事って必ずあるんです。当然ながら、作家の込めた想いはオリジナルの画に宿っているんだから、それはパッケージ化されたメディアでは再現できないことって往々にしてあります。そこはフィルムで上映するこだわりがありますね。

※上映によってスクリーンサイズの変更を行います。

summeri
それは確かにそうですね。ただフィルム上映ができる映画館で、座席数が少ないというのは、運営(経営的な意味で)にも響く部分はありませんか?
箕輪さん
俺の場合は商売として考えてやっていないので(笑)。

普通に考えたら、こんな商売ってほぼ成立しないと思います。だから多くの方は思ってもやってないだけで。最初は川崎の前身の映画館でも、いわゆる他にあるようなミニシアター的なイメージで運営を行おうと考えました(ノヴェチェントの前身はザ・グリソムギャングという、もっと小さな劇場の運営を川崎でしていました)。 しかし、当時の2000年初頭はミニシアターや名画座はどんどんなくなり、シネコンが増えていく過渡期でもありました。

そんな中で、時代に逆行したことを行なっていても、同じ運命を辿るのだなとは思いました。

summeri
そうした中で、どのように運営を行いましたか?
箕輪さん
そこで思ったのが、バー(トラットリア)を併設した映画館です。

映画を観終わった後って、それが面白い作品でも、とてもつまらない作品でも、誰かと共有したい瞬間ってあるじゃないですか? お酒でも飲みながら、そういうことを話せる場所が映画館と一緒になっていればいいんじゃないかってね。

そこで見ず知らずの人が作品を語ることって、とても面白いことなんじゃないかって。

あとは打算的に、映画館に人が来なくても、飲み屋に人が来てくれれば、潰しがきくと考えました。そういったことを考えながら、劇場の設計を考えました。

(前身のザ・グリソムギャングの時代から今と同じようなシアタースペースとバースペースがありました)

summeri
なぜ映画館を運営しようと思いましたか? この仕事に魅力を感じるポイントを教えてください。
箕輪さん
配給だよね。とにかくうちで配給できる作品が欲しかった。

基本的には日本未公開の作品がやりたかったんですよ。俺が小学生くらいの頃は、地上波で必ずと言っていいほど、夜9時からどこかのチャンネルで映画が放送されていてね。そして放送されていた作品は日本未公開の作品や、あまりヒットしなかった作品もあり、今では考えられないような作品のセレクトでした。昨今の地上波での映画の放送は、基本的に大ヒット作品しかやらなくなってしまい、残念に思います。地上波で様々な作品に触れる機会がなくなってしまったという意味です。そして、その中には日本で劇場では未公開の非常に面白い作品がありました。そして、それが現在上映をしている『ナイトビジター』だったりするわけね。

映画館でいつか観たいなって思っていた作品を自分でリストアップしていき、配給をするのが目標だったんです。

魅力を感じるポイントはねー、仕事と思ってやっていないとこですかね (笑)

仕事と思うとうんざりしてくるので。まぁ仕事と思っていないから、楽しいというわけではなく、好きなことをする。嫌なことはやらない。それを決めるのも全て自分なので、中にはろくでもないと思う方もいるでしょう。ただ私にはこれしかないので、この時世でこの規模でフィルム上映を行う映画館を運営することはリスクも多いし、やっていて不安も多いけど、不安に思っていてもいいことないので考えないようにしています。とにかく楽しみながらやってます!

箕輪さん、とても豪快で、気持ちの良い方です。

この劇場でしか見れない作品も非常に多いです。 上映される作品は、他の劇場では公開れていない、これから日本の映画を引っ張る若手監督の作品もあるかもしれません。詳細は下記URLまで。

映画を見て、上映後は一杯飲みながら観客の皆さんと映画について語れる貴重な場所。

近年の映画館としては、とても不思議で面白い場所だ。またぜひ来てみたい。そんな思いで、この映画館を後にした。

シネマノヴェチェント

http://cinema1900.wixsite.com/home

〒220-0051 神奈川県横浜市西区中央2-1-8 岩崎ビル2F 毎週火曜定休

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ABOUTこの記事をかいた人

summeri

映画大好きな映像プロデューサー。 自主制作から商業、アートな作品まで様々な切り口から、映画を身近な存在に感じてもらえる記事を執筆していきます! 映画と共にあらん事を。